2009年6月11日木曜日

高齢者施設6 他世代との関わり

施設内を歩いていて、サービスの良さや建物の作りの良さに関係なく、感じた事。

「お年寄りだけだと、寂しい感じがするな。」


私が日本に帰省した時の体験。
祖母達は曾孫と一緒にいると、とても嬉しそうで元気だった。
家中に活気があった。

ひとりの祖母は認知症だ。
この祖母については、最近状態があまり良くない(特に精神的に)と親から聞いていた。
でも、曾孫と暮らしている間、とてもしっかりしていたし、たくさん話し笑っていた。

子どもは、その存在自体が可愛らしく活気がある。
元気の素だと思った。


子ども以外でも、色々な世代と交わる事は大きな意味を持つだろう。
高齢者にとっても他の世代にとっても、お互いに。

それならボランティアを、となりそうだけど。
ではなく。
もっと色んな世代の人たちと、何気なしに交流できる環境があったら良いな。
特に、地域の人とは、関係を深めていきやすいだろう。

例えば、庭を開放して、訪れたくなるような場所にしたり。
レストランを開放して、コンサートが出来たり人々が集えるような場所にしたり。
入居者が手作りパンを売ったり。
もちろん、ただ開放してたくさん人が集まれば良いのではなく、
リラックスでき人と人が落ち着いて向き合えるような環境作りが必要だろう。

日本にも、こういった地域と交流する場所を持つ高齢者施設が増えてきている。
もっともっと増えて欲しい。

いつまでも、人と関わり、喜びを見出しながら暮らしていけるように。

祖母と曾孫。
たくさんの笑顔を見た。

高齢者施設5 建物について

建物について。
施設Aは2003年建設、施設Bは1953年建設。
施設B建設の時代には、治療環境を整える事が最前線だったのだろうか。近年の施設Aの方が、人の暮らす場、集う場、憩う場としての配慮が見られた。

床や壁、天井の素材、色で随分受ける印象が違う。心地良かったり、冷たかったり。
壁にかけられている絵でさえ、その内容次第で、とりとめなく見過ごしてしまうものもあるし、心が惹かれたり、記憶が蘇ったり、話に花が咲くものがあるだろう。


こんな話を聞いた。
「あるフィンランド人が認知症が進むにつれ、スウェーデン語が分からなくなり、フィンランド語のみになった。」
認知症になった時、その人の人生の中で日々行って来た事やその人の歴史を大切にし、生活の中に活かして行くことは重要なのではないだろうか。
きっと、建物のあり方にも活かせるだろう。


そして、
年月を経ても普遍の、人にとって大切な事を掴んだ建物である事の重要性を実感した。

2009年6月8日月曜日

高齢者施設4 もう一つの施設

施設Bについて。
この施設は、
1)一日中介護を必要とする人のための個室と、
2)基本的に自分で生活し何かあった時には職員を呼べるアパートメントタイプのサービスハウス
から成る。これに加え、
3)在宅の高齢者が、昼中通い治療やリハビリテーションを受けるデイケア、
4)家族と暮らす認知症の人の一時滞在(家族の負担軽減のため)
がある。

治療やリハビリのための部屋として、5−7人用の小さな部屋と10−15人が集える大きな部屋、リハビリやトレーニング器具の置いてある部屋がある。
小さな部屋には機織り機や画材が置いてあった。大きな部屋ではキッチンが付いており、パンやクッキー作りもする。

下の写真は、個室の例。
キッチン付。
(実際に使用されている部屋は見れず、見学用の部屋を見せてもらった。)


ボランティアが訪れ、本の読み語りやコンサートを催したり、パン作りや絵画を一緒にする。神父による礼拝も行われる。
外出や買い物にもボランティアが付き添う。入居者の一部は外出自由。

読み語りやコンサート、礼拝はこの広間で。
もう少しリラックスできる部屋の作りだといいな。



食事について。
個室で暮らしている人は、朝食のみ、自分で作れる人は作る。その他は施設内レストランで。
サービスハウスで暮らす人は、自分で作れる人は作り、家族と一緒に食べることもある。作らない場合はレストランへ。
レストランでの食事は予約制。
近所に住む高齢者もここに来て食べて良いらしい。「高齢者」限定なのが気になるが、落ち着いた環境であるためには仕方ないのか?
でも、レストランは地域の人も足を運びやすい場所。地域交流の場として活かせないかな。
このレストランは学食のような雰囲気。ゆったりと食べれ、談笑したくなるような場所であって欲しい。


デッキは欠かせない。
夏になると一日中出ている人も。
庭は広くて良かったが、数本の木しかないのが残念だった。
草花や菜園があれば、もっと楽しい場所になりそうだ。地域の子どもも遊びに来たくなるような。
写真の奥に見えるのが、サービスハウス。

高齢者施設3 話し合いの部屋、職員の部屋

施設入居の際、半年に1度の入居者と家族、職員との話し合いを行う部屋。
内装もしっかり作られている。



職員の休憩部屋。
大きな窓、ゆったりとしたソファ、マッサージチェア、キッチン、雑誌棚。
もちろん、パソコンや掲示板、入居者からのアラームも。
居心地が良さそう。

介護の仕事はやりがいがあっても、とても疲れる仕事だろう。
そういう現場には、これくらいの休憩部屋が必要なんだなぁ。

職員の仮眠部屋もある。
この部屋も、小さいけれど落ち着く内装だった。

高齢者施設2 高齢者施設のあり方

スウェーデンの高齢者施設の基本的なあり方は。

1)施設入居
施設は市の経営する公営のものと民間企業によるものがある。
市のものと民間企業のものでは、サービス内容も費用もほぼ同じ。
入居料を払うことが出来ない人には、市が補助する。
介護を必要とする高齢者は、訪問看護やヘルパーを利用しながら在宅から始め、デイサービスや施設への一時宿泊、さらに介護度が上がると施設に入居する。施設入居については、空きが出るまで待たねばならない。

2)個人の意思
入居者個人の意思を尊重する。
食事の好みも可能な限り尊重。お酒か薬を選ばないといけない時は、本人に問う。
外出や美容師を呼ぶ事もできる。入居料以外の支出は各自払う。
金銭管理も基本的に各自。できない場合は、友人や親族に(いなければ、市が管理者を探す)。

3)その人らしく暮らす
入居者1人ずつに専属職員が付き、入居者それぞれに合ったスケジュールを立てていく。
施設Aでは、入居者と専属職員が週に1回話し合い、1週間のスケジュールを決める。1日のスケジュールの中には趣味の時間も取る。外出や読書、マネキュアを塗るのに専属職員が付き合う。


施設Aの玄関に、このような言葉が。
「歳をとることは山に登るようなもの。少し息切れはするけれど、見晴らしはもっと良くなる。」