2011年9月15日木曜日

森のムッレ教室 4 自然の階段

〜「森のムッレ教室1, 2, 3」の続き〜 

ここで、森のムッレ教室のプログラムをもう少し詳しく見てみようと思う。

( 以下で使用する図は日本のムッレ教室を取りまとめる組織「日本野外生活推進協会」からもらい、内容はムッレ教室についての本『幼児のための環境教育 スウェーデンからの贈りもの「森のムッレ教室」』を参考にしました。)

( 5−6歳児用のムッレ教室から、1−2歳児用のクノッペン教室、3−4歳児用のクニュータナ教室、小学校低学年用のストローバレ教室、小学校高学年用のフリールフサレ教室まで全てをまとめて用いられている活動名がないため、今後このブログ上では全教室をまとめたものを「森のムッレ教室」とし、5−6歳児用の教室を「ムッレ教室」とします。)


 森のムッレ教室では、自然を理解し環境について考えるために、子供の心身の発達に合わせて一歩ずつ階段を上って行くようにプログラムが組まれている
図は、階段状のプログラム「自然の階段」。

上の絵の「自然の階段」は「森のムッレ教室1」で述べた年齢別の教室に対応している。

 1−2歳児用のクノッペン教室と3−4歳児用のクニュータナ教室は「自然の階段」の1−2段目に当たる。
この段階では、野外で快適に過ごせる服装を準備し、おやつやお弁当を持って楽しく散策出来る能力を身につける

安心して森に出かけることが出来るようになってくると子供たちは、身の周りの物に興味を示すようになる
ここで、3段目のムッレ教室(5−6歳)に続く
ムッレ教室の年齢になると、エコロジーを理解する事が出来るようになり、自然環境で起こる様々な出来事についての知識を吸収する事ができる

そして次の段階として、自然環境と自分たちの社会の関係について一人ひとりが意見を持ち、行動して行くことを目指す(階段4−5段目)
この段階が、小学校低学年用のストローバレ教室と小学校高学年用のフリールフサレ教室に当たる。


 どの段階でもリーダーは、教える立場ではなくあくまで子供の驚きや感動に寄り添い、一緒に考えたり答えを探す相棒としての役目を果たす



このように森のムッレ教室では、子供の心身の発達に合わせて階段状にプログラムが組まれているために、 一歩ずつごく自然な形で自然に親しみながらであるから無理なく理解を深めて行くことが出来る


また、全ての段階で ”体験” を基本としており、体験を通じてこそ深く理解をする事が出来る


 そして、自分の意見を持つ事やそれを人に伝えられる事、自分の学んで来た事が社会にどう還元されるかを常に意識している事は、とてもスウェーデンらしい。
この部分は私がスウェーデンで感じた、スウェーデン社会の最も優れた点のひとつだ。この姿勢があるからこそ、スウェーデンは人にとって暮らし易い社会となっているのではないかと思う。政治への関心の高さもこの辺りに原点があるのではないだろうか。

一方日本はどうだろうか?
今、一人ひとりが ”自分たちの行動によって社会を良い方向に変えて行ける” と自覚することが大切なように思う。

「民主主義を育む」方針は森のムッレ教室の大きな特徴のひとつであり、ひとつの教室の中でも子供とリーダーのやりとりを見ていると随所に感じられる。
リーダーは子供たちが自ら考えて意見を述べるように導き、皆で話し合う場を多く設ける。また、子供の発見や感動に寄り添って共感し、分からないことがあれば一緒に調べる
(参照:森のムッレ教室 2

スウェーデンの教育において、先生と生徒が対等な関係であることや、小グループで話し合って考えをまとめていく授業形式をとるのは一般的だ。こうしたスウェーデンの教育背景に加え、森のムッレ教室では民主主義を育む手法がさらに技術化されている。
この技術は日本のムッレ教室にも受け継がれている。



参照:
森のムッレ教室HP日本 本部)/(東京支部)/(新潟支部)/(Sweden)
HPを見る事が出来るのは以上の4つです。東京支部と新潟支部のHPには写真や活動が豊富に載せられています。
これらの場所以外でも日本中に森のムッレ教室のリーダーがおり、幼稚園保育園やボランティアで教室が開かれています。興味のある方は本部や上記の支部に連絡を取ってみて下さい。

森のムッレ教室についての本
ムッレ教室の哲学や理論に加え日本での活動が紹介された深い内容となっていて、本当におすすめの本です。特に、子供や自然、環境づくりに関わる方には是非読んでもらいたいです。

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