2012年3月23日金曜日

野外保育園(ムッレ保育園)と一般の保育園における園庭の比較研究 1



これまでに紹介して来たように、ムッレ教室を取り入れた野外保育園では園庭も他の保育園の園庭と異なっている
参照:
森のムッレ教室123456
森のムッレ保育園の園庭 12 ,3456


ムッレ教室を取り入れた野外保育園はこれまで”ムッレ保育園(幼稚園)”としてきましたが、今後は”野外保育園”と表記します。保育園/幼稚園の表記については、こちらをご覧下さい。→Förskolan 


既成の遊具は少なく、先生や保護者が手作りした遊具が多い。それは枝に結ばれたブランコであったり、丸太を組み合わせたアスレチックだったりする。丸太や岩があるだけでも想像力を刺激する素敵な遊具になる。
木は園庭中にまんべんなく植えられており、園庭に程良い日陰を作り、木登りに葉っぱ拾いと様々な遊びを提供している。
また、地面は土がむき出しであったり草が生えていたりと、子供にとって最高のおもちゃである土と水と草が園庭中にある
その他に、菜園やコンポストなど四季に合わせて自然を観察しエコロジーを学べるようになっている。

ここで興味深い研究がある。
1997年にスウェーデンで、園庭環境と教育方針の異なる2つの保育園の比較研究が行われた。
(以下の内容は、『幼児のための環境教育〜スウェーデンからの贈りもの「森のムッレ教室」』(岡部翠編 新評論 2007年)のp.6279から抜粋したものです。出版社の了解を得てブログに掲載します。詳しい研究内容と結果・解説については、本をご覧下さい。)


その2つの保育園とは、
1ムッレ教室を取り入れており、自然を活かした大きな庭のある野外保育園スタータレンガン野外保育園
2ランドスケープ(景観)デザイナーが作った、近代的で整った庭を持つ都会の保育園レーテキャッテン保育園

研究チームは、
景観計画・環境心理学者のPatrik Grahn氏(パトリック グラーン:スウェーデン農業大学)を筆頭に、農学博士・児童心理学者・児童理学療法士・建築家により組まれた。

この2つの園を選定するにあたっては、遊び場環境以外に差異がないよう考慮された。
具体的には以下のような事が考慮された。
保護者に社会的経済的な差がないこと。
  地域の保護者たちが「最高の幼稚園」評する程人気の高い幼稚園であること。
  先生が大学で教育学を修了していること。
  自治体の保育課職員が「優秀な先生がいる」と評価をしていること。

調査期間は1年間で、研究チームは2園を何度も訪問して子供の状態を観察し、先生にも一年間日記を書いてもらい、分析を行った。
集中力に関する観察を4ヶ月間、運動能力に関するテストを3回、国際的に認められている様式を用いて行われた。


(続きます…)


幼児のための環境教育―スウェーデンからの贈りもの「森のムッレ教室」
幼児のための環境教育―スウェーデンからの贈りもの「森のムッレ教室」

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