2012年4月3日火曜日

野外保育園と一般の保育園における園庭の比較研究 5 集中力

〜「野外保育園と一般の保育園における園庭の比較研究 12, 3, 4」の続き〜

集中力のテストでは、ADDESというテストを用いて、担任の先生に集中力に関する調査項目を事前に渡し、項目にあった行動の頻度を記入してもらった。

比較対象となった27項目のうち11項目において大きな差が見られ、スタータレンガン野外保育園の子供たちの方が集中力が高いという結果が出た。


(表は、日本野外生活推進協会から頂きました。)


グラーン博士は、スタータレンガン野外保育園の子供たちの遊びを見ていて、
垣根や木や岩などの起伏のある環境の中で、活発でスピーディな遊びとゆっくりしたテンポの遊びを交互に変えながら自分たちの能力とニーズに合わせて遊んでいることを発見し、
こうした遊び方が「運動神経と集中力をより発達させる重要な理由となっている」と述べている。


これらの研究結果を受けてグラーン博士は、
保育園の野外活動と園庭の環境が子供に大きな影響を及ぼしていることは明らかだ」と主張し、「社会がもっとこの事実を認識し今後に向けて対策を講ずるべきだ」と強調している。

この研究は「Ute på Dagis(保育園の外で)」という本として公表され、スウェーデンの全国新聞などのメディアでも大きな注目を集め、保育関係者にも衝撃を与えた。


(以上の内容は、『幼児のための環境教育〜スウェーデンからの贈りもの「森のムッレ教室」』(岡部翠編 新評論 2007年)のp.6279から抜粋したものです。出版社の了解を得てブログに掲載します。詳しい研究内容と結果・解説については、本をご覧下さい。)

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このように、子供たちは野外でのびやかに遊ぶことによって心身に良い影響が出ることが明らかになっている。

スウェーデンでは、子供たちにとっての野外での活動の需要性が広く認識され、優れた園庭環境が作られて来た。
そして近年、持続可能な社会に向けて 自然や環境をより意識した園庭づくりが成されている。この新たな動きについては、また後日…。

日本の園庭校庭も、より一層 遊びと学びと創造に溢れた場所になれば良いなと思う。



参照:
森のムッレ教室123456
森のムッレ保育園の園庭 12 ,3456



幼児のための環境教育―スウェーデンからの贈りもの「森のムッレ教室」
幼児のための環境教育―スウェーデンからの贈りもの「森のムッレ教室」

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